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都会の昼食(45) 銀座 三州屋 [都会の昼食]

銀座というと、高級店が並ぶショッピング街を思い浮かべるだろうが、少し小道に入ると、びっくりするような古ぼけた店があったりする。

今回の「三州屋」さんは、そんな店の一つだ。店構えは完全に昭和。店に入ると、ここが銀座なんてことは忘れてしまうようなレトロな雰囲気だ。

でもこのお店、知る人ぞ知る、昼食の穴場らしい。

有楽町に本社があったときには、歩いて5分ほどだから、社内でもここまで昼食に来る人がかなりいたそうだが、東京駅に移転してからは、電車一駅乗らないと来れなくなった。久しぶりに行きたいという同僚に同伴して、行ってみることにした。

少し早目に出たものの、やはり店の外には10人ほどが並んでいる。皆サラリーマンで、手ぶらだから、近くに勤めている人たちだろう。しばらく待って中に入ると、それはそれは、寅さんの映画に出てくるような、古めかしい飲み屋のような店内に、4人掛けのテーブルが7-8台並んでいて、さらには入口脇と厨房前にカウンター席がある。

店の中には、仲居さんというか、給仕をしてくれるおばさんが4人もいて、これが揃いも揃って、年配の女性、いわゆるおばさんからおばあさんなのだ。入ってくるお客を見て元気な声をかけ、座る場所に誘導する。勝手に座るなんて、禁物のようだ。

席につくと、お茶を持ってきて、注文を取ってくれる。メニューは壁の上に貼られた紙。ちょっと温かいものをと、フライ盛り合わせ定食を頼んだ。しばらくしてフライが揚がると、お盆なしに、御飯に味噌汁と漬物、サラダとキャベツの千切りにフライが載ったお皿をどんどんと机の上に並べてくれる。ついでにソースをテーブルの端から取って、手渡してくれる。

フライは、エビに厚肉のイカとホタテ。海鮮ネタだ。エビは車エビか、ずいぶんと大きくて、美味しい。サラダは昔懐かしい甘いミカンが入ったポテトサラダ。加えて美味しかったのがお味噌汁。赤味噌で、豆腐としじみが入っている。

店の見た目だけでなく、盛り付けや味もレトロな感じで、懐かしい。

と、後から入ってくる人が、「おばちゃん、てんぶりに御飯大盛り」、とかメニューも見ずに「てんぶりね」とか言っている。

「てんぶり」って何だ?

天ぷらとブリの煮つけでも出てくるのかと、と隣の人が頼んだ「てんぶり」を見てみると、天然ブリのお刺身定食のことだった。きれいな色のブリの活きの良さそうなことはもちろんのこと、一緒に丼ぶりで出てくる鶏と豆腐のお汁が、また美味しそうなのだ。

さすがに、常連さんは美味しそうなものを良く知っている。

 

三州屋看板.jpg

三州屋入口.jpg

三州屋フライ定食.jpg