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水星の氷 [ぶつぶつ]

この間、妙に明るい月を見たからという訳ではないのだろうが、再び天体の話題に琴線が触れた。

NASAの探査衛星が近づき、水星に氷の塊があることが判ったという。 

水星は太陽系では一番内側にある。小学校で「すいきんちかもくどてんかいめい」と覚えた、最初の「すい」が水星だ。そういえば、最後の「めい」の冥王星は、惑星要件の見直しにより、2006年に準惑星に降格されている。小さくて軌道が大きく傾き、そうした小さな惑星は冥王星の外にも幾つもあるからだ。

で、その水星に氷の塊があるという。学校で習った「水星」は、灼熱の惑星で、温度は最大で400℃だったはずだ。

いくら名前が「水」だとしても、そんな高温の星に氷とは、何とも不思議な感じがするが、専門家によると水星の極、地球の北極と南極に相当する部分は、ほとんど太陽に照らされず、その地下は氷点下150度くらいに保たれているから、氷があっても不思議ではないらしい。直径が地球の半分以下で重力が小さく、大気がほとんどないことも影響しているのだろう。推定される氷の量は地球の南極の氷の0.1%から0.01%。多いのか少ないのか良く分からないが、それなりの量らしい。

水星の極が太陽に照らされないのは、自転軸がほとんど傾いていないからだ。

水星を「独楽」に例えると、その独楽は軸がまったくぶれずに垂直に立ったまま回転し、太陽の周囲をぐるーっと回っている。軸が傾かないので、上下端は少しも太陽の方向を向くことがなく、したがって、温度も上がらない。

これも中学校で習うことだが、地球は自転軸が23.4度傾いて、太陽の周りをまわっている。このおかげで地球には四季があり、北極や南極では日の沈まない夏があって、生命も育まれる。偶然とはいえ、この角度が今の地球の環境を決めている。

まあ、天文学的には、この自転軸は2万6千年かけて独楽が首ふりをするように回転しているし、その角度も、4万1千年かけて22.1度から23.4度の間を周期的に変化するという。さらに地球の公転軌道がわずかに楕円で、それによる太陽からの距離のちょっとした違いと相まって、100万年規模で氷河期や間氷期が訪れるという。

さらに言えば、地球の自転速度はだんだん遅くなってきていて、1日に相当する1回転が、現在の24時間から、10億年後には31時間になるなんて話もある。

そのころには人類はどうなっているのか。環境破壊で絶滅しているか、新世界で繁栄しているか。

壮大な宇宙の時空間に思いをはせるのは、SF小説を読むより、楽しい。

 

水星氷.jpg

太陽系.jpg

(NASA/Johns Hopkins Universityより)