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松茸づくし [十ノ原]

ひんしゅくを買うことを覚悟で書かせてもらうのだが、今回の十ノ原の一番の目的は「松茸づくし」を食することなのだ。

「この不景気の時に国産松茸のフルコース自慢など、贅沢千万で興味ないわ!」とおっしゃる方は、どうぞ読み飛ばしを。ただし、一度は美味しい松茸三昧を適当な予算で食してみたいという方には、今回紹介するところは、お勧めだ。

松茸も、最近は中国やカナダ、韓国からの輸入品がスーパーに並んでいて、値段が1本1,000円くらいとお手軽になってきたが、当然ながら、その香りと味は、国産品にかなわない。日本でも東北から九州まで、各地で採れるそうだが、関東圏だと長野が有名だ。じゃあ、長野でこの時期になら、美味しい松茸が食べられるかというと、そうとも限らない。地元産と謳っていても、輸入品が一部混じっていたりすることがあるらしいし、値段も千差万別だ。美味しいものを安くとなると、なかなか素人には難しい。

そこで、地元のことなら地元に聞け、ということで、お世話になった設計事務所のTさんに相談し、別所温泉の山奥にある「森林公園」の「いこいの家」を教えてもらった。ここは正真正銘の地元産、近くの山で採れた松茸しか使わない、しかも安心価格で提供と、地元でも知られたところなのだそうだ。

8月の下旬に電話をしてみると、今年は猛暑で松茸の入荷が遅れていて、普段よりオープンが2週間ほど遅れるとのことだった。でも10月の連休なら大丈夫と聞き、予約を入れておいた。コースは2種類で、税別でAコース7,000円とBコース9,000円があるという。違いは「松茸とエリンギのホイル包み焼き」があるかどうかだ。

Aコースでも、松茸鍋、松茸土瓶蒸し、松茸茶碗蒸し、松茸天ぷら盛り合わせ、松茸ごはん、松茸お吸い物、きのこおろし和え、漬物、うどん、と、盛り沢山で、食べきれそうにない。考えた末、Aコース2人分を3人でシェアし、足らなければ追加を注文することにした。ただし、焼き松茸は当日の入荷次第だ、ない時もあるという。

「森林公園」は別所温泉から、さらに数km山奥に入ったところにある。林間学校や校外学習でも使う施設のようで、バーベキュー広場やテニスコート、栗園なども整備されている。

別所温泉からナビの示した道は、北側から回るルートで、すれ違いも難しいような、林道に毛が生えたような道だった。舗装はしてあるが、ガードレールがない場所も多く、初ドライブの次男には、大変な道だった。後から聞くと、地図に赤線で示した南ルートなら道幅も広くて安全ということで、帰りはそちらのルートで戻った。確かにこっちなら問題はない。

「いこいの家」には少し早目に到着したが、すでに席が用意してあった。靴を脱ぎ、大広間に上がると、折りたたみ式の長テーブルが10台ほど並べてあり、両脇に座布団が人数分、置かれている。名前の書かれたテーブルに着くと、さっそく松茸料理が運ばれてきた。

すでに置かれている松茸鍋に火をつけ、煮える間に、天麩羅、茶碗蒸し、土瓶蒸しと運ばれてくる。どれも出来たてだ。天麩羅の具は松茸以外に、薬草ニンジン、カボチャ、しめじ、ししとうだ。茶碗蒸しも、ほんのりと松茸の香りが楽しめたが、やはり美味しかったのは土瓶蒸しだ。火台の火が消えたところで、お猪口でだし汁を飲み、最後に中の松茸や銀杏、かまぼこを食べる。香りと味では土瓶蒸しが一番だろう。

頃合いを見て、奥から大きなざるに載った松茸が運ばれてきた。焼き松茸を選ぶのだ。今回は運よく入荷があったらしい。大きさによって2,000円から9,000円の値札が貼られている。大きさや香りなどを見て、4,000円のものにした。しばらくすると半分に割いて、酢橘を添え、小さな七輪と合わせて持ってきてくれた。網に乗せて焼き、少し表面に水滴が浮き出してきたら火が通った証拠だ。焼きたての松茸を縦に割き、酢橘や抹茶塩などで頂く。松茸料理で美味しさなら土瓶蒸しだが、贅沢三昧というなら、こっちだろう。

そうこうしているうちに鍋がぐつぐつと煮え出した。大きく盛られた白菜がしんなりとしてきたら、上に載った大きな松茸のスライスを鍋の中に混ぜ込んで煮る。こちらは松茸の香りというよりは、食感を楽しむ感じだ。醤油ベースの割り下で、手元の生玉子に浸けて食べるので、すき焼きに似ている。松茸以外に、ネギや糸こんにゃく、鶏肉、シイタケなどが入っている。

松茸鍋の具が食べ終わった頃に、うどんを入れ、最後には松茸ご飯とお吸い物で締めだ。

焼き松茸を1つ追加したとは言え、20歳の次男を含めた大人3人でも2人前が食べきれないほどのボリュームだった。松茸ご飯だけは3人分にサービスしてくれたこともあって、半分近くを、常備されているお持ち帰り用のパックに入れてお土産にした。

食後は、向いにある「松茸資料館」で、栗やはちみつ、干しシイタケをお土産に買い、帰路についた。

いやぁー、人生初の「松茸づくしコース料理」、堪能しました。

 

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