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シジュウカラ [ぶつぶつ]

日曜日にテレビを見ていたら、隣りの和室から「ドンッ」と大きな音がして、庭に面した窓に灰色の影が映りました。

行ってみると、窓ガラスに鳥の産毛がこびりついていて、どうやら小鳥が衝突したようです。庭に目を凝らしてみると、ロウバイの木の下に灰色の小鳥が落ちています。

小雨の降る庭に降りて、手を差し出しても逃げません。脳震盪でも起こしたのか、あるいは打ちどころが悪かったのか、ぐったりとしています。手にとってみると、心臓の鼓動は感じるものの、ピクリとも動きません。このままでは体温が下がって死んでしまうかもしれないと、ひとまず手にくるんで暖かい室内に戻りました。

両手でそっと包んでいると、すこしづつ動くようになってきました。目はパチパチと瞬きをしていますが、相変わらず羽ばたく様子はありません。ずっと手で暖めているわけにもいかず、家内が見つけてきた空き箱の中にティッシュを詰めてベッドを作り、そっと横たえて様子を見ることにしました。 

そのうちに、次第に首を動かすようになってきました。足もモゾモゾとしています。再び手に取り、くちばしを水差しに付けると、口も少し動かすようになってきました。 

そんなこんなで1時間ほどしたでしょうか。手のひらの上に立てるようになってきたので、一度庭に出して塀において見ましたが、ネットを掴んで立てるものの、じっとそのままで飛んでいく様子もありません。まだどこか調子が悪いのか、再び暖かい部屋に入れて手の上に載せていると、しばらくして、やっと少し羽ばたいてテーブルの下まで飛び下りました。

これなら大丈夫そうです。

再び塀のネットに置くと、5分ほどしてそこから姿が見えなくなりましたが、隣家の砂利の上をちょんちょんと動く影が見えます。空高く飛ぶのが難しいのか、猫にでも襲われなければよいなと思っているうちに、やがてその影も見えなくなりました。

翌日庭を見てみると、猫に襲われたような跡もなく、どうやら無事に自分の巣に戻れたようで、安心しました。 

人騒がせなシジュウカラでしたが、小鳥を手のひらに包んだのは小学生の頃以来で、手の中で命が育んでいるという不思議な実覚を、思い出しました。 

 

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