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再びの映画三昧 [ぶつぶつ]

このところ、映画を良く見る。今週の日曜日も映画三昧だった。

息子も家内も出かけ、家にいるのはベリーのみ。午前中は少し仕事をし、午後からエアコンの効いたリビングで映画を楽しむことにした。オリンピック真っ盛りだが、時差の関係で夕方まではめぼしい放送はないのだ。

何を見ようかとDVDやBDのコレクションを見ていて、目に留まったのが「ひまわり」と「追憶」の2本。どちらも学生の頃に早稲田松竹で見た映画だ。早稲田松竹はいわゆる名画座で、最新の封切ものではなく、ちょっと昔の名画を選んで上映してくれる映画館だった。当時は「ぴあ」という雑誌が全盛期で、それを抱えて学生街界隈をうろうろし、喫茶店やらビリヤードやらに出入りし、早稲田松竹にも良く足を運んだ。昔ながらの、映写機の音が聞こえてきそうな、ちょっと場末の映画館だった。今でも覚えているのは、ダスティン・ホフマンとスーザン・ジョージの「わらの犬」や、ダニー・ケイの「五つの銅貨」、ソフィア・ローレンの「ひまわり」などなど。

「ひまわり」はソフィア・ローレン主演、何といってもヘンリー・マンシーニの音楽が泣かせる。当時はソフィア・ローレンなんて綺麗とは思わなかったが、何度か見直すうちに、なるほど、表情や仕草の意図が分ってきて、素晴らしい女優さんなのだと思うようになってきた。ソフィア・ローレン演じるジョバンナが、ロシア戦線で行方不明になった夫のアントニオを苦労の末探し出してみたら、ロシア人の若い綺麗な女性と再婚して子供もいた。その感情の起伏に満ちた演技からは、戦争の切なさと同時にジョバンナの強さが伝わってくる。

それは「追憶」のバーバラ・ストライザントも一緒だ。彼女も、とても美女とは言えないが、ロバートレッドフォード演じるハベルと恋に落ちつつ、平和主義活動を捨てられないケイティーの心の葛藤を、それはそれは生々しく演じている。

どちらも主役は強い女性で「平和」を主題に上げていて、当時の時代背景を映している。

その人にとっての不朽の名作というのは、人それぞれ、見た場所、年齢、時代で違うのだろうが、若い頃に良い映画に触れるのは、とても大切なことだ。何年経って見直しても、当時の感動を思い出させてくれるし、見直す中で新しい発見にも気付かせてもくれる。

たとえば、「追憶」の最後の方で、ケイティーが「I am a good loser」と言う場面がある。今までは聞き取れなかったが、今回は、すっと言葉が耳に入ってきた。字幕では「私は打たれ強いのよ」と出ている。ハベルとも離婚し、子供を育てながら仕事と原爆反対運動を続けるケイティーが、ガールフレンドを連れたハベルを見かけて話をするシーンだ。「loser」の言葉に、ケイティーが自分の生き方のためにたくさんのものを捨ててきたことが凝縮されている。それに応えるハベルにも分っている。そんなシーンだ。

いやぁ、良い映画は何度見ても、良いねぇ。

 

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