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十ノ原2012夏 (4) [十ノ原]

8月7日の未明、女子サッカー、フランスを破り決勝へ!

すばらしい。去年のワールドカップといい、何とも素晴らしい快進撃だ。

勝利の余韻に浸って、ひと眠りした十ノ原の4日目は、ジョギングからだ。

以前の別荘地内をぐるっと回るコースをちょっと変更して、できるだけ大きく回るコースにしたから、1周が6kmくらいだろう。そこを2周して、およそ90分。登りは相変わらずキツイが、下りや平坦なところはずいぶんと軽々走れるようになった。何といっても高原の乾いた空気が有難い。肌の上の汗が乾いて冷えるのが分るほどだ。

戻ってからは、気になっていた屋根の落ち葉掃除に取りかかった。このあたりは落葉松が多く、秋には針のような葉が大量に落ちる。新築する際に近くの落葉松の枝は払ってもらったのだが、やはり屋根の上には落ち葉が積もっている。松の葉は脂が多く、雨風くらいでは流れ落ちないのだ。特に屋根板の継ぎ目の段差に嵌り込んでしまうと、そのまま朽ちて腐葉土になるから、いくら耐久性のあるガルバリウム鋼板でも、心配だ。

脚立を縦に伸ばし、玄関脇の東側から屋根に上がる。

登ってみると、ところどころに茶色い落ち葉の固まりがあって、下の方はやはり腐葉土のようになっている。屋根板の隙間に箒の先を入れて動かし、こびり付いた葉や土を落としてゆく。雨どいはないから、掃き落とせば地面まで落ちる。

予算の関係で屋根の傾斜を低くしたことも、落ち葉が残りやすい原因だが、一方で、屋根に上がって掃除するには、このくらいが良かった。これよりも斜度が急になると、命綱なしで屋根に上がるのは危険だ。

30分ほどで完了し、昼食に出かけることにした。

今日は、大笹街道を菅平高原から須坂方面に下り始めたあたりにある、峠茶屋の「米量」さんへ行く。ここの名物は「ひんのべ」と言って、要は小麦粉を延ばしてちぎったスイトンを味噌汁に入れた料理だ。味噌仕立ての田舎うどんという感じだ。野菜もたっぷり入って、甘味があって美味しい。 

午後からは、敷地内の大きな石を拾い、奥の境界線近くに集めていく。このあたりは立派な腐葉土層でおおわれているものの、少し掘り返すと、一抱えもあるような大きな岩石がごろごろしている。別に畑を作るわけではないが、やはり、あまり大きな石があるのは興ざめだし、下草刈りをする時にも不便だ。工事用の一輪車を出して、その上に載せては、下の角まで運んで下す。これも結構な重労働で、1時間ほどで切り上げることにした。

今日の夕食は、フライ屋、「ちょっと屋」さんだ。いつもはアジフライやイカフライ定食、コロッケなどのフライを頼むのだが、今回は七輪での焼肉にしてみた。予約の時には屋外でと言われたが、店内も空いていて、少し気温も下がってきたので、店中のテーブルにして貰った。焼肉の品数はそれほどないが、牛タンは厚肉で、ハラミもなかなか美味しかった。最後はイカフライ定食で満腹となった。

戻る頃にはだいぶ冷えてきて、微弱とはいえ、ストーブを点けて部屋を暖めるほどだった。

8月にストーブを使うのは珍しい。 

 

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十ノ原2012夏 (3) [十ノ原]

十ノ原の3日目は、飯山まで「本多」の蒲焼を食べに行く予定だが、その前に、大事な一年点検がある。

事前に予約したとおり、朝9時過ぎに施工した建築会社のKさんがやってきた。一年振りの再開だ。ひとまず心配していた床下に入り、基礎の上の柱の浮きがないかどうかチェックする。どうやら予想以上に良い状態で、一番浮いていたところでも3mm以下だったそうだ。実際に室内でも床が鳴るようなことはなかった。それでも浮きが確認された部分には楔を入れて修正、固定した。

気になっていたのは、西側の壁の床の断熱材がむき出しになっていたこと、ウッドデッキの雨戸が閉めにくいことの2点だ。西側は後から30cmほど板の間や棚の分をはみ出させたので、その部分の基礎が控壁のように張り出しているのだが、基礎から浮いている壁の下がむき出しで、断熱材が見えていた。雨が直接掛かる部分ではないのだが、基礎の外になるので、化粧板でふさいでもらうことにした。

雨戸は、女性が開け閉めするには重たく、特に戸袋の中で奥に入る一枚を片手で引き出すのが難しい。色々と現場で検討し、戸袋の反対側、玄関扉に近い側に開口部を作り、手を入れることで引き出しやすくすることにした。

いずれの工事も、お盆明けで材料手配が出来てからなので、準備が出来次第、連絡を貰うことにした。いずれも屋外作業なので、不在時でも対応可能ということで、次回の訪問までに直しておいてもらうことになった。 

1時間ほどで点検作業が終わり、10時半に飯山の「本多」を目指して出発した。 

今年はシラスウナギが獲れず、ウナギの値段も青天井と聞いていたが、インターネットで調べてみると、本多も2900円のうな重が3400円と500円の値上がりになっていた。年に1度か2度の事なので、このくらいなら我慢できる範囲だろう。

須坂、小布施、中野と進み、飯山に着いたのが、12時だった。ちょうど昼時で駐車場は一杯だったが、お店に聞くと隣のJAの駐車場に停めても良いとのことで、すぐに駐車できた。

夏休みといっても、まだお盆前の平日だったからか、お店もそれほど混んでなく、待たずに2階のテーブル席に通された。注文したのは、普通の蒲焼重と白焼き重、それにお椀だ。待つこと15分、出てきた蒲焼は、いつもより大ぶりで、さすがにふっくらとした身が濃い目のタレで香ばしく焼かれ、美味しい蒲焼だった。白焼きは薬味と酢醤油でさっぱりと頂くが、これも夏らしい味わいだ。いつもながらお茶受けの漬物も美味しい。やはり東戸塚で買った一串1650円の蒲焼とは一味も二味も違う。値段と手間から言っても、比べるべくもないが。

久しぶりに蒲焼を堪能した後は、国道117号線を少し北上し、道の駅千曲川に立ち寄る。飯山でこの時期と言えば、アスパラガスやかぼちゃが旬だが、ちょうど家内が食べたがっていた、根曲がり竹の瓶詰を見つけ、購入した。

その後、須坂方面に戻り、小布施から東に10kmほど山奥に入った七味温泉を目指した。ここは高山村といって、春にはいくつもの有名なサクラが見られるところだ。地図を良く見ると、志賀高原の熊の湯から直線距離で南西に4kmだから、かなりの山奥になる。

途中には雷滝があって、滝の裏側を通って下に下りることができる。水量も多く、見事な滝だったが、ちょうどにわか雨に振られ、ずぶぬれになってしまった。 

雷滝から5分ほどで、目的の七味温泉「恵の湯」に着く。旅館の渓山亭が運営する、まだ出来て2-3年の日帰り温泉施設だ。お湯は単純硫黄泉で、見た目は青みかかった乳白色だが、匂いもなく、肌触りはやさしい。底に硫化鉄や酸化鉄が沈澱していて、足の裏や手のひらなど体に付くと、黒くなる。しばらくするとこすれて落ちてしまうから気にすることはないのだが、初めての人は驚くだろう。硫黄泉とは言っても、独特の匂いがないのはちょっと残念だが、なかなかいいお湯だった。実は、この七味温泉は、10年以上前に訪れたことがあるらしいのだが、僕の記憶には残っていなかった。

その後は、須坂まで戻ってTSURUYAさんで夕食を買い込んで十ノ原へ戻った。

 

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十ノ原2012夏 (2) [十ノ原]

十ノ原の2日目は、敷地内の下草刈りからだ。

エンジン草刈機は、実質2年振りに動かすので、最初はエンジンが掛からず、苦労した。点火プラグまで外して掃除してみたが、どうやらプラグキャップの通電部分が錆びて、接触が悪かったようだ。紙ヤスリでさびを落として、キャップの締め付けをきつくしてから起動させると、無事エンジンがかかった。

エンジン草刈機を動かす時には、軍手に長靴、もちろん長袖長ズボンが基本だ。メガネがない人は保護メガネをした方が良い。回転する刃が小石に当たるとものすごい勢いで飛び跳ねることがあるからだ。今回は昨日カインズホームで購入した虫よけネット付きの帽子をかぶったので、顔への飛び跳ねも多少は防げたようだ。

肩から吊下げるベルトで持ち上げるので、両手は軽く向きを決めているだけだが、エンジンの振動が両肩と両手から伝わり、1時間も作業すると「ジーン」と痺れが来る。慣れないうちは刃を左右に振るスピードが速すぎたり、太い枝を噛みこんだり、地面からの高さが高すぎたりと、なかなか上手に刈れないが、だんだん慣れてくると良い加減が分って来る。刃は慣性で回転しているので、笹の密集地など負荷の大きいところはゆっくり刈らないと回転が落ちてしまう。刃の回転数が音で分るようになると、要領良く刈れるのだ。何度か行き来しながら、およそ敷地の半分、150坪を刈り上げるのに2時間近くかかった。 

今日の夜は上田駅の近くの千曲川河川敷で開催される「信州上田大花火大会」を観る予定で、昼は少し遅めにイルボスキーノのイタリアンにし、花火大会の駐車場などの情報を仕入れることにした。

草刈り後にシャワーを浴びて、十ノ原を出発し、イルボスキーノに着いたのは14時近かった。あの食感と味が忘れられず、いつもニョッキを頼むのだが、今回はパスし、冷製スープパスタとリゾットにした。最後にドルチェはホットコーヒーに、紅茶のシフォンケーキとブルーベリーのジェラート。ここは、いつ来ても、何を食べても失敗がない。

花火大会の話を聞くと、会場は上田駅のすぐ裏手の河川敷で、駐車場は駅の近くの有料駐車場に入れるのが普通だが、大手スーパーで買い物をして、そのまま車を停めて花火を見に行く人も多いと言う。ちょうど花火大会会場を挟んで、南東にイオン、北西にアリオ(イトーヨーカドー)があるという。あまり勧められないが、駐車料金もタダだし、花火大会が終了する時間までオープンしているので利用する人が多いのだそうだ。

花火大会は19時からだが、様子見がてら、少し早目の4時にアリオの駐車場に車を停め、店内のブラブラして見た。ここは横浜にあるイトーヨーカドーと同じような品揃えで、さすがにTSURUYAさんよりも品数が多い。また、専門店街も併設してあって、小布施のお土産なども買うことが出来る。なかなか使えるお店だ。

さて、まだ2時間はあるものの、花火会場を見ておこうと千曲川の土手を歩く。土手の道路は通行止めになっていて、お好み焼きやらクレープ屋さんやら、出店の準備が進んでいる。会場の中央付近の歩道にはすでに大きなレジャーシートが敷かれていて、場所取りされている。地図で赤い線を引いたところは歩道上に場所取りをして観覧している場所で、河川敷の中の赤枠は、有料升席だ。2畳のスペースで1万円らしい。当日券はないのであきらめ、青い矢印のあたりで場所取りをすることにした。

僕が縁石に座って待つ間に、家内がアリオまで戻ってレジャーシートを買って来ることになった。ちょうど強い西日が差し、地面の熱さも半端ではない。縁石の上に座っていても、時々立ち上がってお尻を冷まさないと居られないほどだ。帽子を車の中に忘れてきたのも失敗だった。往復2kmの距離だが、40分ほどでレジャーシートとジュースを買った家内が帰ってきた。花火大会で使うというと、地面に貼りつけるガムテープも貸してくれたらしい。ありがたいことだ。

そうこうしている内に、歩道の上はほとんどシートで埋まり、後の道路の上にも場所を取る人が出てきた。真後ろは広島焼きの屋台で、ぐるっと長蛇の人の列になっているから、かなりの混雑だ。

陽が落ち始める頃には、東から西へ風も吹き始め、絶好の花火日和になった。19時から20時半まで、途中に花火師さんの休憩も入ったが、なかなか見事な花火大会だった。何といっても打ち上げ地点に近く、大きな花火が真上で炸裂する醍醐味を味わえた。

帰りは、駐車場から出るだけで1時間以上かかる混雑だったが、タダで停めさせてもらったのだから文句は言えない。考えてみれば、出口に近い位置に駐車すれば良かったのだが、後の祭りだった。

夕食には、イトーヨーカドーの惣菜コーナーでお鮨や揚げものなどを見つくろって買って帰ることにした。花火の終了に合わせて値引き商品が出ていたから、お店も計算通りだろう。

去年は上山田温泉でずぶぬれになっての花火大会だったが、今年は天気にも恵まれ、花火を堪能できた一日だった。

 

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十ノ原2012夏 (1) [十ノ原]

今年の十ノ原の逗留は8月4日の土曜日からだ。

今回は建屋の1年点検とともに、熊笹刈りや屋根の掃除など、今まで出来なかった建屋周りの手入れが主な仕事だ。

出発はやや遅れて7時過ぎになったが、まだお盆休み前で、都内も高速道路もそれほどの混雑ではなかった。11時30分頃に上田菅平ICを下り、早めの昼食は近くのラーメン店「みそ丸」さんにした。味噌専門店で、名前にはすべて「丸」がついている。僕は辛丸、家内は葱丸、要は辛味噌とネギ味噌だ。味はと言うと、まあ、悪くないのだが、ちょっと甘みが強く、直球勝負で、ひねりが少し足らないかなという感じだった。でも、菅平も長逗留になるとラーメンが恋しくなるのだ。このあたりでももう少し色々なラーメン店を開拓しても良いかもしれない。

その後、上田市内に入って、カインズホームで細々したものを購入した。熊笹などの下草刈りに使うエンジン草刈機の燃料と虫よけネット付き帽子、電撃殺虫機、ゴミ袋などだ。その後、バイパス沿いのTSUTAYAさんで本を買い、さらに、いつものTSURUYAさんで食料品を買い込んで十ノ原へ上がった。十ノ原到着は16時だった。

上田市内の気温は30度を超えていて、十ノ原でもまだ27度の表示だったが、はやり湿度の違いか、ずいぶんと涼しく感じる。

やっぱり、高原は過ごしやすい。

今回は別荘の手入れがメインだが、久しぶりに飯山の「本多」さんのかば焼きや、上田市花火大会、昨年同様ブルーベリー狩りなども予定している。

約1週間の滞在の始まりだ。 

 

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都会の昼食(33) つけ麺 舎鈴 [都会の昼食]

やっぱりサラリーマンの昼食のアイテムにラーメンは欠かせません。 

東京ラーメンストリートも制覇してしまったし、以前行った東京海上ビルの「白馬亭」は、ちょっとレベルが落ちてきたので、どうしても最近は隣の東京三菱UFJ信託銀行ビルの地下にある「みそ膳」さんに足が向くことが多くなっていました。

そんな中で見つけたのが、つけ麺の「舎鈴」さんです。

「みそ膳」さんのある通路をそのまま北に進むと、隣の永楽ビルにフードコート「iiyo」があります。このフードコートが出来たのは春ごろですが、かなりの混雑でとても昼食に寄るのは難しく、ランチ候補からは外れていました。最近は客足もだいぶ落ち着いてきたようなので、ものは試しと寄ってみました。

iiyoは1000円位の定食が並ぶ、中の上ランクのランチ・スペースですが、その中にあって、「舎鈴」さんは600円くらいからと、良心的な値段設定をしています。メインはつけ麺で、有名な「六厘舎」さんの系列店のようです。

麺は中太のストレート麺で、「六厘舎」さんとはちょっと違いますが、トッピングは豚ほぐしや味玉で、スタイルはかなり似ています。「六厘舎」さんの系列店で、値段も安いとあって、なかなか混雑していますが、今回は10分くらいで席につくことができました。座席はカウンターに8人、テーブルで12人くらいでしょうか。列に並び、席が空いたところで食券を買って座るシステムです。

つけ麺の専門店といっても、僕は、あの濃い目のタレが苦手なので、普通のラーメン、チャーシュー麺680円をオーダーしました。スープはあっさり目の醤油味で、魚介ダシが効いています。ネットで見てみると、あっさりしすぎという人もいるようですが、中高年のサラリーマン狙いなら、ちょうど良いところだと思います。何と言ってもチャーシューが肉厚でたっぷり入っているのも好印象でした。以前有楽町で良く行っていた喜多方ラーメン「坂内」さんのラーメンに近い感じです。

つけ麺を食べた同僚にも、なかなか好印象だったらしく、今後昼食の定番に加えられそうなお店でした。

 

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8月の朝 [ぶつぶつ]

8月に入った。

夏至から一ヶ月以上たったこの頃になると、だいぶ日の出も遅くなってきて、横浜の日の出は4時50分だ。

日の出前30分位から空は明るくなってくるから、家を出る4時半頃には、もう東の空はだいぶ明るいのだが、天気によって雲が出ていたりすると、明けの明星がキラキラと見えることがある。

早朝の気温は、7月以降まだ上がり続けていて、最近は25度以上の熱帯夜で朝を迎えることも多くなってきた。多少でも風がある日は良いが、ピタッと空気が止まっていると、日の出とともにすぐに気温が上がり始め、駅に着く5時過ぎには、鋭い横からの日差しとともに体感温度は30度を超える。

東京近辺だと、太陽の高度(仰角)が最も高い夏至は梅雨の真只中だから、さほど日の強さは感じないが、日光で温められた地表が次第に大気を温め、1-2ヶ月遅れで真夏の暑さになる。昼間の気温が最も高くなる8月は、すでに太陽は秋分に向けて高度を落とし、日の力も弱くなってきている。

太陽の日の強さと昼間の暑さは数ヶ月ずれている。 

早朝に動き出すと、そんな地球のダイナミズムを感じることができる。 

 

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再びの映画三昧 [ぶつぶつ]

このところ、映画を良く見る。今週の日曜日も映画三昧だった。

息子も家内も出かけ、家にいるのはベリーのみ。午前中は少し仕事をし、午後からエアコンの効いたリビングで映画を楽しむことにした。オリンピック真っ盛りだが、時差の関係で夕方まではめぼしい放送はないのだ。

何を見ようかとDVDやBDのコレクションを見ていて、目に留まったのが「ひまわり」と「追憶」の2本。どちらも学生の頃に早稲田松竹で見た映画だ。早稲田松竹はいわゆる名画座で、最新の封切ものではなく、ちょっと昔の名画を選んで上映してくれる映画館だった。当時は「ぴあ」という雑誌が全盛期で、それを抱えて学生街界隈をうろうろし、喫茶店やらビリヤードやらに出入りし、早稲田松竹にも良く足を運んだ。昔ながらの、映写機の音が聞こえてきそうな、ちょっと場末の映画館だった。今でも覚えているのは、ダスティン・ホフマンとスーザン・ジョージの「わらの犬」や、ダニー・ケイの「五つの銅貨」、ソフィア・ローレンの「ひまわり」などなど。

「ひまわり」はソフィア・ローレン主演、何といってもヘンリー・マンシーニの音楽が泣かせる。当時はソフィア・ローレンなんて綺麗とは思わなかったが、何度か見直すうちに、なるほど、表情や仕草の意図が分ってきて、素晴らしい女優さんなのだと思うようになってきた。ソフィア・ローレン演じるジョバンナが、ロシア戦線で行方不明になった夫のアントニオを苦労の末探し出してみたら、ロシア人の若い綺麗な女性と再婚して子供もいた。その感情の起伏に満ちた演技からは、戦争の切なさと同時にジョバンナの強さが伝わってくる。

それは「追憶」のバーバラ・ストライザントも一緒だ。彼女も、とても美女とは言えないが、ロバートレッドフォード演じるハベルと恋に落ちつつ、平和主義活動を捨てられないケイティーの心の葛藤を、それはそれは生々しく演じている。

どちらも主役は強い女性で「平和」を主題に上げていて、当時の時代背景を映している。

その人にとっての不朽の名作というのは、人それぞれ、見た場所、年齢、時代で違うのだろうが、若い頃に良い映画に触れるのは、とても大切なことだ。何年経って見直しても、当時の感動を思い出させてくれるし、見直す中で新しい発見にも気付かせてもくれる。

たとえば、「追憶」の最後の方で、ケイティーが「I am a good loser」と言う場面がある。今までは聞き取れなかったが、今回は、すっと言葉が耳に入ってきた。字幕では「私は打たれ強いのよ」と出ている。ハベルとも離婚し、子供を育てながら仕事と原爆反対運動を続けるケイティーが、ガールフレンドを連れたハベルを見かけて話をするシーンだ。「loser」の言葉に、ケイティーが自分の生き方のためにたくさんのものを捨ててきたことが凝縮されている。それに応えるハベルにも分っている。そんなシーンだ。

いやぁ、良い映画は何度見ても、良いねぇ。

 

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