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犬の学校 [ぶつぶつ]

ベルギー人は犬好きで有名だ。 

ベルギーに行くと、街中はもちろんのこと、お店の中や路面電車の中など、どこでも犬を見かける。しかもリードを付けていない犬も多く、飼い主と並んで、トコトコと道を歩き、飼い主も常に犬に目を向けている様子もない。飼い主の意図を理解しているのか、ちょっと寄り道しながらも、着かず離れず、飼い主の近くを歩いている。もっとびっくりするのは、吠える声を聞くことがほとんどないことだ。他の犬を見つけても、まず吠えて威嚇するようなことはない。

ベルギー人と食事をしている時に、その話になり、犬の躾の話を聞いたところ、「みんな犬の学校に行くんだ」と話してくれた。でも、日本人の感覚とはちょっと違うのだ。

学校で躾と言うと、如何に飼い主の言うことを聞かせるかだと思いがちだが、ベルギーでは違う。犬には犬の社会があることを教えるのが目的なのだそうだ。

だから、学校と言っても、多数の犬と一緒に置いておくだけらしい。その中で犬同士がお互いに意思疎通して、お互いの立場とか、強い弱いとか、してはいけないことなどを学ぶらしい。犬は集団で行動する生き物なので、犬の社会の仕組みや、自分がその中にいることを認識させるのが、とても大切なのだそうだ。排泄や人間を攻撃しないなど、人が飼う上での最低限のことは別途教えるのだろうけど、犬として生きていく上で大事なことは犬から教わる。

日本では子犬が産まれると、数週間のうちに売買されて、できるだけ子犬のうちから家庭に引き取って育てることで家族の一員として認識させるんだと説明すると、そんなことをしたら犬は犬としての自分を理解しないんじゃないか。犬の社会があることを知らずに育っても、犬になれないじゃないか、と言われた。

なるほど、さすが、「個:Identity」の考えが徹底しているヨーロッパ人の考えだ。

かわいい、かわいいと溺愛して人間の家族の中だけで育てられるのは、犬の本当の幸せではないのかもしれない。

はたしてベリーは、自分を犬として認識しているのだろうか。

ちょっと耳が痛い話だった。 

 

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