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グランド クォーツ [ぶつぶつ]

最近の世代は分かりませんが、私の頃は、小学校を卒業して中学校に進む時に、ちょっと大人の仲間入りという感じがありました。

ランドセルが手提げかばんに、服が私服から詰襟の学生服に、名前も「ちゃん」から「さん」にと、いろいろと身の回りで変化が起こるタイミングでした。

そして、入学に合わせて揃えてもらう持ち物の中でも「腕時計」と「万年筆」は特別で、妙に「大人」の持ち物を手に入れたという感がありました。

最初に買ってもらった腕時計は、確かシチズンの自動巻きでした。1万円くらいだったのでしょうが、しばらくは毎日左腕を眺めていた記憶があります。

その後、高校生になると、ダイバーズウォッチが流行り、カシオのデジタル腕時計も買いました。

そんな中で、大学に入学したお祝いに母親から買ってもらったのが、SEIKOのGrand Quartz でした。ちょうど年子の兄も前年に同じ時計を買ってもらっていて、違うデザインのものにしようかと悩みましたが、やはりこれが一番恰好良くて選んだことを覚えています。

裏ぶたの刻印は4843-5011。キャリバーが4843。48モデルというやつですね。翌年には発振子を2個積んだツインクォーツのモデルが年差10秒という凄い精度で発売されていますが、当時はこれが一番高精度のクォーツ時計でした。

景気が良かったのか、たしか当時の新入社員の月給と同じ位の値段で、銀座の三越で一段高いショーケースに飾ってありました。学生が持つには分不相応でしたが、その後社会人になって、年を重ねるに従って腕にも馴染み、随分と活躍してくれました。

以来40年近く経ち、普段使い用には色々な腕時計を買い、また処分してきましたが、この時計だけは特別で、大切にしてきました。

ただ数年前の結婚25周年記念にGrand SeikoのSpring Driveを買ってもらったこともあって、このところ出番が減っていました。

ひょんなことから久しぶりに取り出してみると、なんと曜日表示が中途半端な位置で停まっていて、文字盤の周囲にも小さなゴミのようなシミが見えます。「これはまずい」と、すぐに銀座の和光に持ち込んでオーバーホールを依頼してきました。

でも、さすがに発売から40年近くともなるとほとんど部品がないそうで、修理が可能かどうか、まずはチェックして連絡をもらうことになりました。

何とか復活させたいですけど、どうでしょうかね。考えてみると、人生の三分の二以上一緒にいましたから、修理不能となったら思いは複雑です。

直った暁には、クロコダイルのベルトにDバックルでも奢ってあげようと思っています。

 

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