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アントワープの由来 [番外編]

先月訪れたアントワープの話です。

ノートルダム大聖堂の裏手の市庁舎の前にあった大きな銅像、良く見ると「手首」を投げようとしています。

これは、アントワープの名前の由来ともなった次の寓話がモチーフになっています。

アントワープを流れるシュケルデ川に棲んでいた「アンティゴーン」という巨人は、近くを通る船に重い税金を課していて、払わない船があると、その船長の手首を切り落としていたそうです。それを征伐にやってきたのが、ローマ戦士の「ブラボー」。長時間の戦いの末、巨人の右手を切り落として投げ捨て、以来、この川を安全に航行することができるようになったのだそうです。この「手を投げる」という意味のhant werpenがAntwerpenという地名になったというものです。

でも、本当のところはラテン語のantverpia、「砂が堆積する前から」が語源で、シュケルデ川の湾曲でできた土地を表しているという説や、荷揚げ場の意味のande werpが語源で、シュケルデ川の船の係留だった名残というものもあります。

まあ、大抵、正解は味気ないものですが、それにしても、寓話をこんな見事な銅像にして市庁舎の前に飾ってしまうあたり、芸術や文化の成熟したヨーロッパテイストを感じます。市庁舎の石の色と金箔、空の青さ、銅像の緑、見事な風景でした。

アントワープには王立芸術学院があり、1980年代に世界的に有名なファッションデザイナーを多数輩出したことで、モードの街としても発展したそうですが、その礎には、こうした街並みやノートルダム大聖堂のステンドグラスや絵画があるのだということを再認識した旅でした。

日本だと何でしょうかね。

歴史的建造物というと、すぐに神社仏閣を思い浮かべますが、この時期だと、やはり「桜」とともにある風景が目に浮かびます。

京都や奈良の桜が見たくなってきました。

 

ブラボー像.jpg