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アメリカ出張 (おまけ その3) [ぶつぶつ]

アメリカは車社会です。

車がないとまず移動できませんから、空港などではアメリカ人も良くレンタカーを借ります。

Hertzは全米でも一二を争う大きな会社で、当然ながら借りる人も多く、ちょうど空港のレンタカーのカウンターに着いた時には20組以上が並んでいました。カウンターも10人以上が同時に手続きができるような大きさになっているものの、担当者が少なく、開いている窓口は3つしかありません。しかもそれぞれが何を手間取っているのか、一向に終わりません。一台のレンタカーを貸し出すのに10分以上はかかっています。それなのに何を話しているのか、スタッフは楽しそうに笑いながら端末を操作してはお客と話をしています。

次第に列に並んでいる人たちがざわざわし出しました。

もともと私の知るアメリカ人は、待つことに寛大です。空港のセキュリティーなど、大変な長さの列になっても横から割り込むこともないし、少し手間取る人がいたら、荷物を持ってあげたり、助け合いの習慣があります。にもかかわらず、「どうしてあいつはへらへら笑っているんだ」「ここからHertzのカスタマーサービスに電話しよう」「こんな待ったことは今までない」「ペラペラしゃべる時間があったら、とっととやれよ」といった、会話が聞こえてきます。

自分の番になって、「今日はシステムの調子でも悪いの?」と聞いてみると、「いや、そんなことないよ。どうして?」「随分と時間がかかっているけど」「ちょうどお昼時で、スタッフが少ないからね」と、ごく普通の対応です。「どこから来たの?」「アトランタはどうだった?」「日本でもHertzは有名?」と、キーボードを叩きながら、確かに雑談を仕掛けてきます。適当に返事を返しながら、何とか5分くらいで切り上げてもらいました。それでも列に並んでから終わるまで小一時間かかりました。

思いだしたのが、昔、会社の企業研究で教わったスターバックスのことです。

スターバックスで売っているのはサービスである。サービスとは「憩い」であって、「コーヒー」を売るのではない。だから決してお客様をせかせたり、スタッフがバタバタしてはいけない。何かモノを取る時も、一呼吸置いて、ちょっと無駄な動きを入れたりするように教育していると聞きました。

お客様への丁寧な接客というのがHertzの社員教育にあるのかどうか分かりませんが、その後ろで何十分も待たされているお客の気持ちまで行き届かないというのでは、サービスとしては片手落ちです。

まあ、状況に合わせた「臨機応変」な対応というのも、アメリカ社会ではあまり聞かない言葉ですから、普段通りで仕方がないのかもしれませんが。

 

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