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バスの中で [ぶつぶつ]

横浜からバスで30分ほどのところへ出張した時の話だ。

同僚と一緒に最後尾の横長椅子の左側に座って話をしていると、前の2人掛けの椅子に、赤ん坊を連れた若い女性が座ってきた。髪の毛を赤く染めて、ちょっと派手な服装をしている。顔は見えないが、抱っこ紐で赤ん坊を抱えて、手にサマンサタバサのトートバッグをぶら下げている。今時の若いお母さんという感じだ。

何となく嫌な予感がしたのだが、バスが出発してしばらくすると、案の定、赤ん坊がむずかり出した。お母さんは携帯電話をいじらせたり、キラキラする小物で気を引いたりとあやすのだが、赤ん坊の機嫌は良くならない。だっこ紐で体を押さえられて窓から差し込んだ日があたっているから、きっと暑いのだろう。体をよじって足をバタつかせていたが、5分ほどして、いよいよ声をあげて本格的にむずかりだした。

お母さんがだっこ紐を外して赤ん坊を横に置くと、気が紛れたのか、窓から外を眺めたり、何か喋っている。椅子の背に手をかけ、我々の方を向いたり、横を見たり、母親のバッグに手を伸ばしたり。

と、何気なく赤ん坊と目があった。

じっと見つめると、赤ん坊も「さて誰だろうか」とでもいうように、見つめ返してくる。ニコッと笑うと笑い返す。それほど可愛らしい顔ではないが、赤ん坊ならではの無垢な顔だ。こちらが真顔になると赤ん坊も真顔になる。顔の表情を自由に変えられるように筋肉が発達しているのは人間だけだそうだが、こんな小さいうちから無意識に相手の表情を真似できるのは、すごい能力だ。

そのうちに僕の顔にも飽きたのか、今度は母親の髪の毛をひっぱったり、大きな声を出し始めた。お母さんは再びだっこ紐で抱え込んであやしながら、コンパクトを手に持たせたり、お菓子の箱を見せたりするが、効果がない。こいつはやっかいだなぁと思いながら赤ん坊と目が合ったので、ちょっと睨んでやったとたん、着火した。バスの中なのに、これでもかと言うような大きさの声で泣き出した。

お母さんは突然どうしたのかと、慌ててだっこ紐を外して両手で抱きながらあやすが、その後バスを下りるまで、赤ん坊は泣き通しだった。

下り際に振り返って「やかましくてすいませんでした。」と言ったお母さんは、後姿からは想像できない、新垣結衣ちゃん似のかわいらしい顔立ちだった

いえ、こんなステキなお母さんの子供とは知らず、泣かせたのは私です。子育て頑張ってくださいね。 

 

新垣結衣.jpg 


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