SSブログ

日本一の頭脳王と世界を変えた男 [ぶつぶつ]

年末に十ノ原でテレビを見ていると、日テレ系で「日本No.1の頭脳王!大決定戦!!」という番組をやっていた。 

いやはや、凄いのだ。とても尋常の人間ではない。

後半からしか見ていないが、東大医学部、京大医学部、東大大学院、全国模試1番など、そうそうたるメンバーが、色々なジャンルの超難問を解いてゆく。太陽の重量を求めたり、ローマ帝国の皇帝の名前を何十もあげたり、アスピリンの化学合成式を書いたり、文章を速読したり、複数の問題を一瞥して解いたり。それも短時間でだ。いったい彼らの頭の中はどうなっているのか。あらゆる分野の知識に加え、記憶力、理解力、計算力、判断力など、およそ知性に関わる能力が試されている。正に頭脳王、日本一なのだろう。

で、翌日の大晦日に横浜へ戻ってきて、外回りの掃除も終え、ちょっと一息ついた時にNHKでやっていたのが「世界を変えた男 スティーブ・ジョブス」の再放送だった。ちょうど23日の放送を見損なっていたので、これ幸いと見ていたのだが、引き込まれてしまった。「彼には25年先の世の中が見えていた。それを実現しようとしていた」というコメントも、彼がアップルを創立した頃にすでに今のiPhoneやiPadを未来の電話機としてスケッチしていたことからもうなずける。10年や50年ではなく、25年というのがミソだ。10年では他の人でも出来そうだし、50年だとそれが完成しても世の中へ普及するのを見極める時間がない。

で、それを見終わった途端、頭脳王が急に色あせてしまったのだ。

けっしてそうした知能を持った人を蔑んでいるわけでも、やっかんでいるわけでもないのだが、知識を持つことの努力や大変さは理解できても、知識を持っているだけでは、それだけだということだ。その知識をどれだけ使えたかのほうが凄かった。

スティーブ・ジョブスが後に米国の頭脳が集まると言われるスタンフォード大学の講演で述べた「Stay Hungly.Stay Foolish」という言葉の意味を考えると、日本の頭脳王がスティーブ・ジョブスのようになることはとても難しい気がする。というか、彼は頭脳王のような人に、啓示のようにその危うさを教えていたように思える。 

スティーブ・ジョブスも小学校4年生の時に高校2年生の知能レベルだったらしいから、それなりに天才だったのだろう。一旦オレゴン州のリード大学に入学するが半年で退学している。学費が高かったからとかいう説もあるが、自分が教授陣より優れていると見限ったというのが正解だろう。彼にとって知識や知性は、世の中の人の役に立つものを作るために必要なもの、それだけだった。彼は知識をたらふく詰め込むことに全く魅力を感じていなかった。彼の前で頭脳王が知識や能力を見せても、彼は静かに「So what?」と言ったはずだ。

1989年にアメリカに留学した時に初めてアップルのパソコンに触れ、当時のボーナスの1回分を全て注ぎ込んで買ったのが、SE/30だった。たしか学割でも$4,000はしたはずだ。当時は1ドルが150円くらいだったから60万円近い買い物だったが、そのくらいスペックもデザインもOSもアプリケーションも、すべてが魅力的だった。

その後の僕の人生で、ボーナスを全額つぎ込んで買ったものは、無い。

頭脳王vsジョブス.jpg

SE30.jpg 


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0