SSブログ

ブルージュ [番外編]

こんなブログを書いていると、観光に来ていると勘違いされそうだが、もちろん仕事に来ているのだ。ただ仕事の内容は書けないので、自ずから食事やら買い物やら遊びの話になってしまう。特に今回は土日を挟んでいて、そんな話ばかりだから、誤解されないか心配だ。

3日の土曜日は若いメンバーがブルージュへ観光に行くというので、同行させてもらうことにした。ブルージュは9世紀から15世紀まで栄えた中世の交易都市だ。運河が北海まで繋がっていて布織物の貿易で栄えた古都だが、運河が土砂で埋まり、次第にその役目をアントワープに譲っていく。その後は大きな開発に呑まれることなく、中世の街並みが残されていて、パンフレットには「天井のない美術館とも呼ばれ、その美しい町並みは世界遺産にも登録されている」とある。

僕の中では、高校生の頃に聞いていたヤマハポプコンで林哲司が歌っていたブルージェの印象が強い。寒々とした北欧の海を臨む町のイメージだが、本物はどうなのだろう。

9時にホテルを出て、MIDI駅で合流し、電車でブルージュへ向かう。土曜日の午前とあって、ホームには人があふれている。こちらの人は整列乗車という習慣がないのか、隙間があれば割り込んでくる。もっとも列車の乗車位置も書いてないし、どんな車両で何両編成かも分からないので、適当な位置で待っているしかないのだが、それでも直前の列車のドアの位置を中心に人だかりが出来ている。しかたなく少し空いた場所に立っていると、ちょうど目の前にドアが来て列車が止まった。ラッキーと思いきや、両側から無理やり割り込んでくる。たくましいというか、節操がないというか。それでもお年寄りや女性に先を譲るのは徹底しているのだ。そうこうしていると出発の10時05分を過ぎている。何とか乗り込んでしばらくして列車が動き出した。10時10分。ベルもないし、のんびりしたものだ。

普通列車だが、途中ゲント駅に一度止まっただけで、ブルージュに到着した。11時15分だ。帰りの時刻を確認し、ついでにトイレに行こうとするが長い列が出来ている。女性も男性も同じ列に並び、入口で50セント払って入る仕組みだ。きっと男性用は混んでいないのだろうが、皆黙って列に並んでいる。時間もないので、先を急ぐことにした。

駅から街の中心のマルクト広場まで歩いて20分ほどらしい。途中で屋外マーケットと救世主大聖堂を見学する。ヨーロッパには立派な教会が多いが、これも見事な建築だ。なかなか写真では伝わらないが、いつどこで見ても、聖堂のステンドグラスは美しい。しばらく中の椅子で休んでいると外に出るように促される。聞くと昼休みだと言う。1時間は閉めるらしいから、ちょうど良いタイミングで入れたらしい。

次はメムリンク美術館に行く。昔の聖ヨハネ施療院の中にある。絵画はそれほど点数はなかったが、昔の手術用具なども展示してある。宗教画の良し悪しはよく分からないが、知識のある人にとっては、面白いのかもしれない。入場料は8ユーロだが、中でトイレを借りられたので、実質は7.5ユーロか。

美術館を出てマルクト広場を目指すのだが、なかなかたどり着かない。中心に100m近い高さの鐘楼があるので、それを目指すのだが、道路が縦横に走っていないし、道幅が狭く両側の家々がさえぎってそれが見えないのだ。結局最初の屋外マーケットに近いところへ戻り、そこから太い道を通ってマルクト広場に出た。ここが観光の中心で、多くの店やレストランが並んでいる。すでに12時半をまわっているので、ここで昼食をとることにした。DELL ARTEという店でランチを頼む。11ユーロで、前菜がえびのクリームコロッケとサラダ、メインはステーキとお値ごろだ。肉も柔らかく、ソースも良く出来ていて、皆大満足だった。残念だったのは、途中から日が差し込んできて、食事どころではなくなってしまったことだ。9月だというのに、たぶん気温も30度近かったように思う。

その後、日本語ガイドつきのミニ観光バスに乗る。小一時間かけてブルージュの主要な観光スポットを回り、ところどころで録音された解説がヘッドフォンから聞こえる仕組みだ。 スタートするとクラシック音楽のBGMがずっと流れていて、ところどころで解説が流れるから、運転手がバスのスピードを調整してうまく解説のタイミングに合わせて目的の場所に来るようにしているのだ。それほどスピードは出ていないといってもかなり細かい道路を行き来するのだから、うまいものだ。

戻ってくるともう15時だ。最終列車の1本前でブリュッセルに戻る予定なので、あと1時間くらいしかない。最初の予定では舟で運河から街を見るつもりだったが時間がなさそうだ。そこで、最後に鐘楼に登ることにした。366段、83mあるそうだ。入口に行くと、入場の列が出来ている。安全のために70人しか入れず、中に人が溜まると入場を止めて調整している。15分くらい待たされて、やっと塔の中へ入れた。ここも8ユーロだ。中は狭い螺旋階段が続いている。途中からは幅が1m以下になり、すれ違いが出来なくなる。階段の角でどちらかの人が止まり、相手を行かせる。下から登る人は足元を見ながら来るので上が見えず、自ずと下りの人が待つことになる。下から登る人はなかなか休めない。しかも螺旋階段の中心部分を登るので踏み幅が狭い。結局最後の1/4くらいは登り詰めになるので、お年寄りや女性は大変だろう。なんとか頂上にたどり着いたが、さすがにそこからの眺望はすばらしい。遠く運河が見え、その先には北海があるのだろう。下にはマルクト広場をはじめ、街中が見渡せる。吹き抜ける風が気持ち良い。5分ほど鐘楼の鐘が鳴るのを待ったが鳴らず、下りはじめてしばらくしてから鳴り始めたのは残念だった。

下まで降りるともう16時だ。列車は16時38分発なので、駅に戻ることにした。今度は道に迷うことなく戻れたが、それでも16時25分になっている。列車はブルージュ始発なのか、すでに乗客が乗っている。一番先頭の車両まで行き、何とか4人分の席を見つけ、帰路についた。

駆け足の観光だったが、なかなか楽しめた一日だった。 できればもう少し秋の深まった時期の静かな町が良かったのだが、世界遺産に登録されて観光地化した以上、無理な相談なのかもしれない。

 

ブルージュ行き列車.jpg

ブルージュ駅.jpg 

救世主大聖堂.jpg

ステンドグラス2.jpg

聖母教会.jpg 

マルクト広場.jpg

鐘楼.jpg 

鐘楼上1.jpg 


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0