都会の昼食（２） 竹むら かつ丼

今日の昼食は蕎麦だった。

週に１度は行くお蕎麦屋さんが、会社の近くのビルの地下にある。、最近は少し気温も上がってきて、混み合うようになってきた。一昨日は混んでいて諦めたので、今日はリベンジだ。

最近良く頼むのは、冷たい蕎麦に、海苔と大根おろし、カイワレ、野菜のかき揚げが載ったものだ。看板メニューで、すぐに出てくるし、なかなか美味しい。

同僚と二人で食べていると、隣に中年の女性が一人で入ってきた。どうも、席に案内される時にすでに注文を伝えていたらしいが、席に座ってしばらくするとイライラしているのが伝わってきた。まだ２－３分しか経っていないのに、「まだなの？」と詰問調だ。呼ばれた店員の女性は、一応確認のためか、「ご注文は？」と聞き返したのが、さらに気に障ったらしい。「さっき言ってあるわよ！」っと言いながら、にらみ返している。と、その後から、別の店員さんが、お盆を運んできた。

カツ丼である。

しかも、小さなかけ蕎麦がついているらしく、「時間がないんだから、蕎麦も急いでよ」と、伝票を置いた店員さんの後から、箸を片手に言っている。

りっぱなお重なので、たぶん１０００キロカロリーはある。それほど大柄でも、立派な体格ではなかったけど、がつがつ食べている。まあ、急いでいたのだろうけど。体力を使う仕事をしている風でもなかったが、大した食欲だ。４０歳は超えているだろうに、あんなに急いで食べたら胃にもたれないか、心配になるほどだ。

時間がない時に蕎麦屋に入って、カツ丼を頼む、その気概が大したものだ。

お店も混んできたので、彼女の食事を最後まで見終わる前に席を立ったが、ちらっと見えた左指には、ちゃんと指輪が光っていた。

お店を出てから、同僚と、思わず、「すごかったなぁ」、「すごかったですねぇ」と顔を見合わせた。彼女が結婚していたことを言おうかと思ったが、やめた。

地上へ上がって外へ出ると、朝までの雨が上がって、夏のような暑さだった。